三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

確定申告の長蛇の列

 旧ソ連圏の社会主義体制下の「行列」が何も生産しなかったように、税務署に長蛇の列を作る年寄りの群れも、何一つ生産しない。その相手をする税務署員の群れもまた。こういう「無駄」を積み重ねつつ、国は衰退していくのだ。確実に。容赦なく。

 でまあ、いろんなことを思うわけだ。パソコンやネット等のスキルの有無で、確定申告の手間は雲泥の差となる。何時間も行列して、1日がかりで申告書類を作り、なけなしの還付を受ける爺婆と、e-taxでサクっと片付ける爺婆。また、資産の有無で年金給付に格差が生じるというのも分かった。60歳で定年退職させられ、いきなり無収入になったなら、老齢年金の繰り上げ受給をせざるを得まい。逆に食いつぶすに十分な資産があれば、受給を70歳まで繰り下げて、4割増しをゲットできる。こうした仕組みを分かっていればこそ、なのだが。

 こういうのは実に分かりやすい「知的社会」の特徴なのだな。分かってる奴はより稼ぎ、その稼ぎにより、さらに稼げる、と。分かんない奴は真逆。損を積み重ねていく。で、それをアカラサマに指摘するところが、橘玲の真骨頂であるわけだ。露悪であり、偽悪である。それが、社会に内包される偽善をあぶり出す。

 生活保護を受けられるのは「住所」がある人間のみで、「住所」すら失ったホームレスは、より厳しい境遇にいるにもかかわらず、生活保護の対象外である。この矛盾を解消するためには、ホームレスに「住所」を与えるか、生活保護制度を無くすかしかない、というあたりが「それ」だ。

 自分は、そこまで突き詰められない。四角い味噌箱を丸いお玉でしゃくる、的なところでお茶を濁しておきたい。それで滅びる国/社会は、滅びりゃいいじゃん、と。そう開き直ったとしても、そうそワヤにはなりゃしねえ、と高をくくってる。