調べてみたら、昔やってたブログ(というかホームページ)に事情を記録してた。以下、再録しとく。
e-Tax導入始末記(1)
(2004/11/25)ことの始まりは税務署からのダイレクトメールだった。「自宅でできる国税電子申告・納税システム イータックス ご利用の手引き」と題したパンフレットが入っている。「個人の方へ」と明記されていたことを記憶しておきたい。要するにインターネットを使ったサービスで、税務署に行かなくとも確定申告やら納税が出来るらしい。銀行も保険も株取引もクレジットカードも、どんどんネット化している昨今、遅まきながら税務署も同様のサービスを開始したのか、と思う。必要な手続きは、以下の通り。
1.開始届出書と本人確認書類を税務署に郵送
2.利用者識別番号、暗証番号及びe-Taxソフトが税務署から届く
3.ソフトをパソコンにインストールし、暗証番号を変更、電子証明書等を登録する
4.税務署で登録・処理
本人確認書類は運転免許のコピーでOKらしい。これならすぐに申し込める。受取人払いの返送用封筒も同封されているし。
20日ほど経ち、忘れかけた頃にCDROMと書類数枚が書留で届く。さっそくパソコンにインストールする。ネットに接続して、ソフトをアップデートし、登録手続きを開始する。と、「電子証明書」の登録を要求してきて、そこで作業が止まってしまう。個人認証手続きのことだとなんとなくは分かるのだが、税務署のサイトにアクセスすればできるように思っていた。
例えば、書留で届いた書類の中にアクセスキーと仮パスワードが記載されていて、それでサイトにアクセスして、住所氏名その他の個人情報と新パスワードを登録し、自動応答メールを貰ってそこから再アクセスして、新パスワードを入力して認証する…というような。証券会社からネット通販まで、たいがいのサイトはそれで済んでいたから。
ところが違うのだな。最初のパンフレットをよく読むと、最後のほうにこう書いてあった。
e-Taxを利用する際に必要な次のいずれかの電子証明書を登録します。なお、具体的な取得方法及び費用につきましては、各電子証明書の発行機関へお尋ねください。
(1)市区町村の発行する電子証明書
(2)その他の電子証明書
利用可能な電子証明書の詳細は、e-Taxホームページをご覧ください。
そして最後に1行、一回り小さな字で、
*電子証明書がICカードで発行される場合は、ICカードリーダが必要となります。
とあった。
これだけじゃ、具体的に何をすればよいのかさっぱり分からない。「市町村区」というのを頼りに、板橋区のサイトにアクセスし「電子証明書交付」を探してみる。あちこち探したところ「公的個人認証サービス」というのがそれらしい、と分かる。そのためには「住基カード」というものが必要である、と。また分からんものが登場した。なんじゃそれは?
ネットで「住基カード」について検索すると、ちょっと前に騒ぎになった「住民基本台帳ネットワークシステム」に関係してると分かる。そういや、11桁の番号を記した紙切れを送りつけてきたな、と思い出す。戸棚をひっくり返して探し出すが、単なる紙切れで「カード」とは違うようである。番号も、それをネットで入力すればどうこうなるというものでは無さそうだ。
もっぺん板橋区のサイトを調べる。区役所の窓口に運転免許かパスポートを持って行けばその場で「住基カード」なるものを作ってくれるらしい。写真入りと写真無しがあって、写真入りなら今後身分証明書として使える、と。料金は500円。その上で「公的個人認証サービス」の手続きをするとさらに500円。めんどくさいし、金もかかるのか、と唖然とする。
それでもちゃんと区役所に行くところが自分のアホなところだ。デジカメ写真のプリントを作って持参し、申込用紙に記入して10分後、「写真入り」の住基カードをゲットする。テンキーで入力した4桁の数字がパスワードとなる。続いて「公的個人認証サービス」もやってもらう。別の申込用紙に記入して、何やらでかいキカイに向わされて、キーボードから適当なパスワードを入力する。ここまでで500円+500円の1000円。
この「住基カード」の実体は、自分の「氏名 住民票コード(例の11桁数字) 生年月日 性別」が4桁数字のパスワード付きでICカードにインプットされたもの。ちなみに「氏名 住所 生年月日 性別」は、顔写真とともにカード表面にしっかり明記されているから、カードを見た人間は誰でもパスワード無しでアクセスできる(笑)
で、「公的個人認証サービス」とは「氏名 住所 生年月日 性別」を別のパスワードと組み合わせて、カードのICに記録しただけ。たかがこれだけの「情報」を保護するのに何でこんな入り組んだセキュリティーが必要なんだろ? 住民票の閲覧なんて役所行けば誰でも出来るじゃん。
その上この「公的個人認証サービス」をe-Taxの「電子証明書」として使うためには、パソコンからカードにアクセスするための「ICカードリーダ」なるデバイスを購入しなければならない。お値段は3千円台から1万8000円程度とのこと。さらに金がかかるのかよ!
電子申告・納税というのは、納税者の便宜を図るというよりも、税務署の省力化のためのものだろう。なのに、納税者は自前でパソコンとインターネット環境を用意するのみならず、そのために「住基カード」を作成し、それを使うためのデバイスを新規購入しなければならない。なんか間違ってないか?