三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

マンション、買うか借りるか

 シミュレーションしてみよう。自分自身がマンションを買ったのは26年前で35歳だった。そこで現在35歳のA君、B君の場合。

 A君は月15万、年利0.5%、35年の返済予定で、5800万のマンションを買う。

 B君は月10万の賃貸に住み続け、月5万の年60万を年利3%で複利運用する。

 25年後。60歳のA君は月15万を残り10年払う予定。マンションの評価額は4000万。預貯金はゼロ。

 同じく60歳のB君は月10万を死ぬまで払う予定。この時点での金融資産は? 1年目の60万が24年後に122万。2年目の60万が23年後に118万。以下、順繰り足し算してくと、2129万になる。

 これはB君一択だと思う。外形的にはA君は資産4000万、B君は2129万で倍の差があるが、A君の資産は文字通りの「不動」産。B君の資産は如何様にも流動可能だ。さらにA君の負債は年利を無視したとしても25/35の71%としか返済しておらず、残り29%すなわち1687万円の負債を残している。評価額とガッチャンすれば資産2313万でB君とは僅差だ。

 A君の利点は、自分が住んでいる5800万の持ち家マンションが、B君が住んでいる月10万の都営住宅より、ステイタスが上、ということ。おそらくは圧倒的に。でも、そこにA君はさらに10年住み続けなければならない。対してB君は、現在より安いところ、高いところ、如何様にも住み替えが可能だ。B君がその気になれば、月家賃30万をはたいて、A君以上の住まいで暮らすこともできる。そこで70歳まで10年暮らしたとしても、家賃の差額は20万×120=2400万。その時点での金融資産は3440万。さっぴいても1440万残る。

 重要なのは、単に月15万ずつ返済し続けるだけのA君と、月10万の家賃と5万の投資を行うB君と、どちらがお金についてのリテラシーを涵養できるか、ということ。圧倒的にB君だ。固く3%で稼ぐだけじゃない、武漢肺炎空騒ぎのような下落があれば、そこで大胆に投資するだろう。

 さらには住まいについても。同じ月10万の家賃でも、住める物件は年年歳歳変わっていく。会社の先輩から「海外赴任する2年間、ただでいいから住んでくれないか」てな話があり、「いえ、5万は払います」てなことになるかもしれない。それで年60万の2年で120万浮く。当然、投資する。また、投資で失敗するかもしれない。でも、月2万の「特定物件」に引っ越して3年暮せば288万浮く。どちらもA君には絶対できないこと。

 ちなみに自分自身がマンションを買った26年前の金利は、住宅金融公庫が3%で銀行が4%だった。4%のローンを20年で返済すると、ざっくり倍額になる、と教わっていた。それに比べりゃA君の0.5%はじぇんじぇん条件がいい。

 また、B君が年利3%で運用する金融商品だが、26年前なら5%。リスクをとれば10%も十分ありえた。

 たまたま自分は「A君」だったわけだが、「B君」としての世界線を考えてみるのも興味深い。どんな人生だったのだろうねえ、と。

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