三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

世界線

 SFで「世界線」という概念がある。一種の多元宇宙論で、ある事柄についてAかBか複数の選択肢がある場合、世界が二つに分かれて、それを「世界線A」「世界線B」と言うように呼ぶ。もっとも、思いっきりミクロで考えれば、分子運動の一つ一つで世界が分岐することになり、ありとあらゆる可能性がどれかの「世界線」で現実となっているということになる。また、逆にマクロで考えれば、人類がこの先何をやらかすにしろ、1000年かそこらで地球を食い潰して絶滅するのはほぼ確実なので、それ全部まとめて「世界線A」、奇跡的にその後も生き延びるのを「世界線B」とざっくりまとめても無問題だったりする。

 でもまあ、SFというのは、要は現代の神話であり、神話は馬鹿でも分かるくらいに分かりやすくなければいけない。で、ラムちゃんと結婚する「世界線A」と、しのぶと結婚する「世界線B」なんて感じに展開するわけよ。

 自分のような爺なら、過去を振り返って、「ああ、ここで世界線が分岐したな」と思うポイントを発見する。で、別の世界線における自分自身を想像して、後悔にヘソを噛んだり、幸運に胸をなでおろしたりするわけ。

 その一つが実に「長年のアル中の挙げ句の肝炎死」だったりするから、ねえ。一度分岐したはずの世界線が、また「元の鞘」に収まったりするから気が抜けないわけで。