自分は飲食店をやってるわけじゃないし、飲食店のビジネスに通じているわけでもない。単に上っ面の「現象」を観ているだけなのだが、おもしろい、と思う例があったので書いておく。
東京の、とある商店街にあるエスニック料理のレストランだ。「本国の味」そのもので、旨い店だと思っている。一定数のファンは確実にいる。でも、そんなには流行ってはいなかった。理由の一つは立地。ビルの2階なのだ。これは飲食店としては大きなハンデ。さらに「エスニック」であることから、ポピュラーな「和食洋食中華カレー」よりも、フリの客が入りにくい。
その店が、今回の武漢肺炎空騒ぎの「自粛要請」に伴い、「弁当販売」を始めた。店の入り口の階段の下で売っている。ランチの定食が850円なのだが、同じ内容の弁当は600円。そんなに安くはしていない。
これがしかし、実に旨そうなのだな。「弁当」と言っても作り立てで、香ばしい匂いが立っている。「縁日の焼きそば」や「たこ焼き」を想像してもらうと、それに近いかも。商店街なので、そもそも通行人は多い。香りに惹かれて足を止める人間がいる。そこでセールストークする。売れ行きは上々。
店は夜の営業を止めて、ランチ限定にしているのだが、そのランチの客が明らかに増えた。「弁当」が初見だった客が新たに来店しているのだろう。昼から飲んでる客もいるので(「土地柄」ゆえ)、客単価もそこそこだ。
「自粛」終了後の通常営業の暁には、前よりも客が増え、売り上げも増大するのではないか、と期待できる。だとしたら、武漢肺炎空騒ぎがまさに「奇貨」だったわけだ。
そんな例もある、ということ。