西尾維新「新本格魔法少女りすか」
2冊読んで「ファウスト」掲載の最新作も読んだ。連作短篇だが、一作一作、新しい切り口と趣向を盛り込んでいる。キャラクター造形に手間暇をかけながら、「キャラ萌え」に頼らず、アイディアとプロットで勝負している。若い作家だが、力量は十年選手を凌ぐ。正直、感嘆した。先々楽しみである。
その上であえて言うが、読者をイジる手法は感心できない。読者の感想をネットでざっと見たが「主人公に感情移入できない」というのが目についた。率直な反応だろうし、それは実に正しい。イジろうとして失敗した結果だ。
エンターテインメントの基本は快楽原理だ。快楽するのが読者であれ、作者であれ。読者が「快」と感じられないだろうことは、作者が「快」と確信できない以上、やるべきではない。単に「より強く刺激的である」てな安直な理由で、主人公に行動させるべきじゃない。
要するに作者の「本音の説得」可能性があるもの以外、読者様の反感を買う行動は避けるのが、エンターテインメントの基本中の基本。そゆことだ。
- 作者: 西尾維新,西村キヌ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/03/16
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (163件) を見る