三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「バットマン ビギンズ」

ダークな雰囲気はとても良かった。主人公のキャラ立ちまくっていたし、「若き大富豪がなぜバットマンに?」という基本テーマもキチンと描けていた。問題は敵役。なんですか、あのヒマラヤ忍者軍団は? 主人公の修行の場と敵とを一つにまとめたところに根本的な無理があったたと思う。「タイガーマスク」の虎の穴だったらともかく。
ちなみに「タイガーマスク」の伊達直人は孤児で貧乏で、虎の穴でプロレス修行するより他ビッグになる道はなかった。その後、真のプロレス魂に目覚めて、虎の穴のレスラー達と戦うことになるのだが、汚れた過去を知ってるファンは「黄色い悪魔!」と罵倒する。実に分かりやすい。
バットマンビギンズ」のブルース・ウェインの場合は、金は腐るほど持っているが、悪の現場を知らないので、取材のつもりで悪の道に入る。流れ流れて幾千里、多分「中国チベット地区」の務所にブチこまれていたところ、忍者軍団にスカウトされて、「スターウォーズ1」のお師匠さんに鍛え上げられる。
でも「殺し」は嫌だからと軍団足抜けして、行きがけの駄賃に忍者屋敷を丸焼けにする。あの火事騒ぎで「泥棒」も仲間の忍者さんたちも相当数死んだんじゃないかと思うが、それは「殺し」にはカウントされないの? だったら屁理屈としか言いようが無い。
あと、敵の水源を蒸発させる武器って何? ドラッグ兵器(?)のアイディアから逆算してでっち上げたギミックであるのがみえみえ。もうちょっと自然に出来なかったものだろうか。
そもそもがこども騙しであるアメコミを、大人の鑑賞にも耐える映画にする、というのは、限りなく不可能に近いチャレンジなのだろう。自分的なベストはサム・ライミの「スパイダーマン」2作なのだが、喝采を上げているのは自分の中の「こども」だもん。