三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

アートとビジネス

 最近のビジネス書じゃ「アート」がツボってるらしい。要するに、従来のビジネス的発想じゃ各社ドングリの背比べでコストダウンの叩き合いの我慢大会になる。稀代のイノベーターにしてアーティストだったスティーブ・ジョブズが築いたアップル帝国のように、アーティストの力を借りて、優れたデザインの画期的な製品を開発し、高く売ればいいじゃん。そうだそうだそうしよう、ということ。

 アーティストこそがイノベーターである、ちうのはまさにその通りだと思うが、じゃあ、どこにアーティストがいるんだ? また、アーティスト100人のうち、成功するのは1人であり、残り99人はアートじゃ食っていけない。イノベーター足り得るのも1人であり、残り99人じゃ無理だろう。御社が採用したアーティストが100分の1の成功者であるという保障はあるのか? 数打ちゃ当たるで、ビジネスマン100人の代わりにアーティスト100人を採用するだけの余力が御社にあるのか? そう考えていくと、結局のところ「御社に足りないのはスティーブ・ジョブズです」と言っているのと変わらんのではないか、との思いに至ってしまう。

 で、先日ニューズピクスで拾い読みした「プレジデントオンライン」の記事によれば、会社の採用面接の際に留意すべきは2点で「自己評価が強い人」「組織内位置認識が弱い人」を弾けばいい、とのこと。なんだ、そこで「アーティスト」は確実に弾かれるじゃんよ。

 すなわち、アーティスト=イノベーター足り得る人材は、御社には絶対に入らない、ということになる。イノベーターを弾き出している日本企業にイノベーションは不可能。で、アーティストを積極的に採用する冒険企業がアメリカに100社興って、うち99社が失敗して倒産し、残った1社がイノベーションに成功して未来のGAFAになる。イノベーション無き御社は、その下請けで食っていけばいい、と。そういう「理解」でよござんすね?

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