三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

瀬尾まいこ「傑作はまだ」

 瀬尾の小説というと、少女の成長がテーマのように思ってて、それらと比較すると異色で新鮮だった。だけど、この50歳小説家って、人間として薄過ぎないか? よくプロとして通用するな、とあきれてしまう。獲れたてのアジの刺身が「柔らかい」なんて書いてる人間が、どんなに深刻な人間ドラマを描いても説得力に欠けるように思う。つか、編集者がちゃんと指摘してやんなきゃ。

 で、この作品が自分に刺さったのは、主人公に共通するところが自分の中に多分にあり、そこに何本も鍼だか針だか鉄串だかを「刺された」からだ。痛いよママン(笑)

 女一人で私生児を育てて、それが智みたいな完全無欠のデキスギ君に育つというのはファンタジーに近いと思うのだが、あえて「そうした」のが瀬尾のこだわりなのだろう。中学教師としてさんざん経験して、何度と無く悩まされただろうところの「片親はダメ」てな偏見を打破するために。そういう意味じゃ、これもまた「中学校の先生が書いたお話」の範疇なのだと思う。

 

傑作はまだ

傑作はまだ