三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「電車男」

電車男

正直、まったく期待していなかったのだが、予想外の佳作だった。山田孝之の「泣き」で6割がた成功している。男泣きというより、高校野球が終わった直後のチアガールみたいな泣き方。男女問わず、あんなにめろぐちゃな泣きっぷりを映画で観たのは久しぶり。で、残り4割の成功は、山田のオタ演技。話し方、歩き方から、けつまづいたり、転ぶところまで見事なオタクっぷり。
中谷美紀は、いいウチのお嬢様で、給料高そうな会社(外資系?)のビジネスウーマンで、でも男縁がなく、女友達との食べ歩きが趣味、てな設定を忠実に演じていた。でもラブシーンに「恋愛」の匂いがしない。純情な電車が可愛いから、母性本能刺激されて、いい子いい子してあげた、という感じ。小学校の女の先生が、泣いちゃった生徒相手に「キミは勇気があったよ、がんばったよ、先生もキミが大好きだよ」とはげましてるように見えてしまう。

どうせなら、もちっと裏がありそうなキャラにしたほうが良かったかも。柴門ふみ版ぐらいの。そうだな、ワンカットだけ登場する上司(派手なスーツ着て英語ペラペラの)との10年来の不倫関係を匂わす演出があっても良かった。
それと中谷は実年齢より上に見える。山田は実年齢21歳で、22歳の電車を演じているが、中谷は29歳なのに、軽く34〜35歳くらいに見える。最大譲っても、電車より10歳年上の32歳というところだろう。手が老けている。若いおなごのような柔らかさがない、筋ばった上に皮膚がピンと貼りついた固そうな手。鳥の脚を連想する。そう思い始めると、中谷の面構えもなんとなく猛禽っぽく見えてくる。純情可憐なおたくを捕食する、負け犬ならぬハゲタカ女ってか(笑)
エンドロールが流れ終わったところにおまけがついていて、テレビドラマ版の電車&エルメスが登場する。それはそれでいいのだが、同じ台詞でエルメスに絡む電車親父(大杉漣)が「潜在的電車男エルメスの恋のきっかけを作るトリックスター」みたいな感じで可笑しかった。ある種の妖精? 都市伝説のキャラクターみたい。