三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「ガリア戦記」

岩波文庫版を半分ちょっと読んだ。カエサルの戦争名人ぶりに感心。ケルトゲルマン人の「土人」っぷりも良く分かる。多数の部族社会がせめぎあい、強きを助け弱きを挫く弱肉強食の戦国乱世状態。当然、強大なローマとは仲良くしようとするが、弱みを見せたらすかさずつけこんでくる。
ケルトもゲルマンもガタイの良さを誇り、小柄なローマ人を馬鹿にしていた。ゲルマンvsケルトじゃ、北方系のゲルマンがガタイのでかさで優勢だったが、統制のとれたローマ軍との戦争では通用しなかった。ここらへんも、何とも「土人」。
日和見で、狡猾で、近視眼で、機会主義で、信頼がおけない「土人」たち。ローマの進出により、部族間のバランスが崩されたせいもあるだろうが、それだけじゃない。戦争に敗れた部族は皆、ローマの庇護を求めてくる。ひとたび敗北したら、周囲の部族によってたかって食い物にされ、消滅する運命だからだ。
こういう「土人」と「文明人」が付き合うには、寛容をもって接し、信義を重んじること。信賞必罰で、信義には報酬を、裏切りには厳罰を与えること。そして、上層部から次第に「ローマ化」していくこと。これが出来たからこそ、ローマは世界帝国を建設できた。
中学生に読ませるべき本。世界史的な「ヨーロッパ」の後進性を知り、無用なコンプレックスに陥らずに済む。金髪碧眼のデカい連中に圧倒されることもなくなるし(笑)