三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

脱感作

本棚「戦争における『人殺し』の心理学」感想への追記。
「脱感作(だっかんさ)desensitization」というのは見慣れない言葉だったので調べてみた。心理学や免疫学の用語で「感受性を低下させる」という意味だ。
映画やゲームの暴力シーンが、実際の暴力を誘発するとは限らず、逆に暴力衝動の昇華に役立っているかもしれないとも思うが、作り物の暴力シーンに見慣れることにより、実際の暴力を目撃した時の嫌悪感が鈍磨されるという「効果」は確実にある。
ずたずたに切り刻まれた死体を見ても、嫌悪感、恐怖感、痛み、吐き気などを感じる前に「スプラッタホラーみたいじゃん」と、逆に作り物であるかのように感じてしまう。心理的な安全弁として、そちらに気持ちを逃がしてしまうのだろう。
ご推察の通り、長崎の「例の事件」を念頭において書いている。加害者は「バトロワ」小説を書いていて、おそらく映画も観ている。「だから殺した」とは言えないだろうが、殺しの際に脅えたりパニックに陥ったりせず、比較的冷静に事を遂行したとしたら、「バトロワ」その他の映画の殺人シーンを観てきたおかげ、とも言えよう。