三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

昔は悪かった

 昨今流行の「エビデンス」を提示しよう。

 交通事故の死者数は2019年に3215人。統計が残る1948年以来で最少だ。ちなみに最多が1970年で1万6765人。当時の死者は歩行者が最も多く、15歳以下が12.5%と、多数のこどもが犠牲になった。2019年も歩行者が最多だが、年齢を見ると65歳以上の高齢者が1782人で全体の55.4%。年寄りは死んでもいい、とまでは言わんが、こどもが死ぬよりずっとマシだろう。1959年生まれの自分は、1970年には11歳で小学4年生だ。まさに「生き残った」わけだよ。

 その1970年の「事件」を見てみよう。1月ビアフラ戦争終結。3月大阪万博開幕。よど号ハイジャック事件。4月天六ガス爆発事故で死者79名。ビートルズ解散。アポロ13号事故。支那人工衛星打ち上げ成功。6月「プラハの春」終焉。11月三島由紀夫割腹。12月コザ暴動。まあ、ろくでもない年だった。その前後と同じように。支那では文革ベトナムでは戦争。中東は3次と4次の間の消耗戦争。アフリカではビアフラの他、西サハラ問題。世界中で人が殺されまくってた。

 逆に言えば、戦乱の時代であっても、万博やったりアポロ打ち上げたりしてたわけだ。世界は均一じゃない。それは今でも同じことだが、当時よりはずっとマシになってる。

 トイレは汲取式だったし、食品はチクロにタール色素に合成保存料にと、添加物まみれだった。新潟水俣病田子の浦ヘドロ、四日市ぜんそく光化学スモッグと、水も大気も汚染されまくっていた。

 人の心も荒れて汚れていた。人口10万人あたりの刑法犯の発生率は、1970年が1846.27人に対して、2018年は973.59人と半減している。殺人1.90人→0.72人、強姦4.93人→1.03人、傷害48.57人→17.81人、強盗2.57人→1.41人、放火1.52人→0.70人と、おおむね半数以下に減少している。

 昔は悪かった。まっこと正しくもその通りである。