三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「株式投資これだけはやってはいけない」

 紙版は06年の初版なのだが、今現在も版を重ねていて売れ続けているようだ。初心者と言うよりは、株取引をそこそこ経験した人間がやらかしがちな「禁じ手」を的確に指摘している良書。それ以外にも、読んでてあれこれおもしろい。

 著者の「山一証券時代」の昔話がホント「こんなことやってたんかい」とあきれるほど時代後れなので、それが逆に香ばしい。エリートディーラーが新人時代に「注文入力練習」を毎日1時間以上1年続けた、とか。スポ根まんがの「うさぎとび」ですか? 「重いコンダラ」ですか? 悪質な営業担当者が客相手に「今すぐ買わないとどんどん上がりますよ、ほら1円上がった、2円」と発注をせかすとか。

 インターネットのおかげさまで、どんだけマシになったことか。だけど、今でも「電話注文」の客はいるんだろうな。わざわざ高い手数料払って、売買タイミングを大きくずらして。で、そういう客こそが、実は相場を支配しているのかもしれない。小口客の注文をわざと遅延させて、大口客に利益を移す、なんてこともやっていそうだからねえ。これはネット証券じゃ不可能なこと。

 また、昔の慣習にも驚かされることしきり。「板情報」が「証券取引所会員」=証券会社以外には非公開で、顧客が「確認」するには、証券会社の担当者に頼むしかなく、何度も訊く場合は「お礼の形で株式を発注する」のがフツーだったとか。信じられん。そんな時代に投資家が稼げていたとは、とてもとても。要は、証券会社同士の売買が相場の本体で、それに関与できる投資家ってのは「大口」オンリーだったってことだろう。個人投資家なんざゴミ屑だったわけだ。

 今は違う、と信じたいが、「尻尾」は残っているだろう、確実に。それに気がつくのが「賢い投資」の大前提なのだ。