三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「パッチギ!」

ホテルビーナス」の10日ほど前に知人からDVDを借りて観た。「69」のような全共闘世代青春回想モノに見せかけつつ、かなりのクセモノ作品。ネットじゃ「韓流vs嫌韓」てな次元の議論が盛んにされているように見えた。自分の見立てじゃ、この作品の一番のテーマは「暴力肯定」。
現在日本においては「暴力反対」が、左から右までのコモンセンスでしょう。暴力を肯定したら、右は「暴力団」左は「過激派」と、問答無用で「アウトロー」に分類されてしまう。
でも「パッチギ!」(頭突き)とのタイトル通り、この作品世界では、暴力は権利主張のための正当な手段だし、目前の困難を解決する最適な手段でもある。
現実世界では、暴力はしばしば陰惨な結果をもたらす。刑法次元じゃ「殺人」「傷害致死」「傷害」「暴行」などなど。でも、「パッチギ!」世界では無問題。朝高vs地元高空手部の抗争で、鉄パイプや鉄ゲタでさんざん殴り合って流血したり、失神したりしても、誰も死にはしないし、後遺症すら残らない。少年まんが的楽園。残念ながら「友情」までには至らんが(笑)
逆に、超短期的に暴力は実に有用。ラジオ生番組での「イムジン河」演奏を実現したのは、プロデューサーの「鉄拳制裁」だった。尻をなでるセクハラ患者に対して、朝高スケ番OG看護婦の対処は、問答無用の即「ビンタ」。実に正しい。
この「暴力肯定」に疑問を感じなければ、実に痛快な作品だと思う。自分は、立ち止まって、しばし考え込んでしまった。