三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

パタヤのドイツ人

パタヤビーチ

「暖冬」と油断していたら急な冷え込み。空模様も雲が厚く夕暮れ時に小雪が舞い散るほど。常夏のタイが恋しい。せめてタイの話を書こう。
タイ国内をバスで移動中、パタヤというビーチリゾートに一泊した。予約も無しに、適当によさげな安ホテルにチェックインした。ホテルもビーチもドイツ人だらけ。ちと異様なくらいだった。
夫婦とおぼしきカポーやこどもも交えた家族連れも一部いるが、圧倒的多数はドイツ人のおっちゃん+タイねいちゃんという組み合わせ。朝飯食ってビーチで昼寝して酒飲んでホテルにお泊まりして、というお付き合いらしい。町のあちらこちらに赤紫色のライトで彩られた怪しげなビアバーがあり、カウンターの中にねいちゃんが大勢いる。まあ、そういうことなのだろう。
おっちゃん達はドイツ人だから、ホテルでもビーチでも実に物静かでおとなしい。ねいちゃん達(よく見るとかなりのおばちゃんもいる)は、おっちゃん達を観光案内したり、ビーチじゃおっちゃんのおでこの汗を拭いてやったり、飯屋じゃおっちゃん好みの料理をオーダーし、食べやすく取り分けてやったり、実にかいがいしくお世話している。で、カポーの10組に1組ぐらいは、ドイツおっちゃん+タイにいちゃんなのだ。そういうビアバーもあるのだろう。
勝手に想像するに、ドイツの冬は日本以上に陰鬱で曇天の下、雪と氷に閉ざされているのだろう。家には金髪のごついおばちゃんが金髪のヒゲはやして万事を仕切っていて、タバコを吸おうとしたおっちゃんを厳寒の屋外に叩き出し、ゴミの分別を口うるさく言い、夕食の時にはイモとソーセージを茹でるだけなのだろう。朝食昼食にはそれすら無い。スライス済みのソーセージと黒パンのみ。電気ポットのお湯で入れたインスタントコーヒーで、おっちゃんは冷え切った身体を温めるのだろう。ネスカフェ万歳。
タイじゃ、三食出来立ての温かい飯が食えるし、黒髪のねいちゃん(あるいはにいちゃん)が文字通り、かゆいところに手が届くお世話をしてくれる。タバコ吸っても文句一つ言わないし、火までつけてくれる。おっちゃん達にしてみれば、ここが「天国に一番近い場所」なのかもしれんな、と思った。