三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「スパイダーマン2」

おもしろかった! 前作同様の落下感覚が凄い。スーパーマン鉄腕アトムのように飛行するのではない。あくまで「落下」。「糸」一本に全体重を託して、高層ビルの谷間を振り子のようにすっとんでく。今回のスパイディはストレスで調子が悪く、肝心な時に糸が出ず、真っ逆さまに墜落する。キンタマ縮むほど怖いし、スッゲー痛い。それが独特のリアリティーにつながっている。
アクションも前作比数倍濃い。ここ10年ばかりのCGの飛躍的な進歩で、観客はたいがいのことに驚かなくなっている。スパ2じゃ、ビルの壁面を使っての戦いとか、電車上の戦いとか、CGと分かってもアイディアで驚かされる。
キャラクターの掘り下げが深い。バイトに学業にスパイダーマン活動にと追われまくるピーター。激烈なアクションに、お手製のちゃちいコスチュームはたちまちボロボロ。半ば素顔晒しながらがんばる。電車のシーンは全編で一番の感動モノ。アメリカ人にとってのヒーローとは何かを、徹底的に明確に示している。ドクオクの前に次々に乗客が立ちふさがるところが見事にアメリカン。一瞬でドクオクに排除されるのだが、怪我させないようにドクオクが手加減していたように見えたのは俺だけ? このドクオクがまたいい。天才科学者にして肉体労働者の巨体。奥さんは文学部で英詩専攻。
MJが実は一番濃くまた怖い。文春の映画評でおすぎがこきおろしていたように、ヤな女全開。スパイディのストレスの最大要因は、この女じゃないだろうか。(以下、ネタバレ全開につき色変えとく)
ピート=スパと半ば知っていて、食ってやろうと虎視眈々と狙っているくせに、ギリチョンのところで身を翻す。その上細かくネチネチとピートを精神的に追い込む。ピート忙しいし生活に追われてるの分かってて、舞台を観に来いとかさ。そのくせ別の男と婚約してたり。
で、最後の暴挙がとんでもない。要するにおまえはケコーン衣装着るのが目的で、着たら最後そのまんまフケるつもりだったのだろう、と。周囲の人間の大迷惑をものともせず、ケコーン衣装のすそをからげて、笑顔全開で街中を突っ走っていく。さながら狂女のごとく。(「ほほほほほ」と高笑いしているように見えたのは空耳か。それじゃ楳図かずおの恐怖まんがか)
で、それ以上に凄いのは、自室に佇むピートの後ろに、いきなり立っているMJ。ピートびっくり。数百メートル先の敵の気配を感じ取るスパの超感覚の斜め上をいっている。怖〜〜〜!!

いやあ、映画って本当におもしろいですねえ。…と久々に実感した。