三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「部長と2LDK」

 珍妙なタイトルだが、双葉社の四コマまんが誌「まんがタウン」の人気(多分)連載で、とある小さな会社の女性部長30歳(超やり手)と、女性新入社員23歳(ゆとり)が2LDKのマンションで同居生活することになる、というお話。ルームシェアじゃなく同居であり、食事等日々の生活を、夫婦同然に共にすることになるのだが、二人とも家事をまったくしたことがなく、炊飯器で米を炊くのも初めて、というから、しょっぱなからアレコレ大変だ。

 流行の「百合」まんがに分類されるのかもしれんが、ビアンでも「お姉さま」でもない。あくまで上司と部下。でも、全体に祝祭的な雰囲気が漂っているのは、二人それぞれの「エロス資産」のおかげだろう。年下の西菜々(にしなな)は超巨乳で楽天家で、日本人というより、アメリカかイタリアの田舎娘みたい。年上の東藤子(あずまふじこ)は黒髪ロングのメガネで女教師のような雰囲気なのだが、古典的な美女で、ボディはスレンダーながら脱げばしっかりくびれてて、胸もけっこうある。ともに男っ気皆無で「処女」設定かもしれん。

 思ったのだが、若い女のエロス資産は、乱交脳の男をたぶらかすのが主目的としても、同性に対しても有効で、結果として「世界」を、いやおうなしに祝祭化するのではなかろうか。それに「否」を唱えるのが、十字教新月教その他の、男性原理に支配された宗教である、と。

 61歳直前爺である自分は、二者択一的に藤子に感情移入して読むのだが、藤子自身、菜々との生活が、確実に人生に「華やぎ」をもたらしている。ビアンではなく、ソフトな「百合」でもなく。

 近いのは「ハイジ」や「アン」か。枯れつつある独居老人や、老兄妹のところに、生命力に溢れた幼女・少女が投入される。エロス資産というのとは違うな。こども資産。こどもがこどもであるというだけで、大人(すなわち爺婆)に与えてくれるエネルギー。

 とどのつまりは「若い女はいい!」(柳沢きみお)なのだ。女にとっても。特に「若さ」を失った女にとっては。で「部長と2LDK」においては、自身まだまだ「若い女」であるところの藤子が、仕事その他で枯れかけていたエロス資産を、菜々により発掘され、活性化される、と。これは、女が読んでも楽しかろう。

 でもまあ、実際のところ女の「同性関係」は「異性関係」の百倍ややこしく、難しい。男には介入はもちろん理解不能な世界。

 

部長と2LDK : 1 (アクションコミックス)