安倍首相が昨日28日の官邸記者会見で、武漢肺炎の患者に対して臨床試験中の、新型インフル薬「アビガン」の薬事承認を目指すと語った。
これを報じた朝日デジタルの記事に、数時間で1000以上のコメントがついている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200329-00000004-asahi-sctch
ざっと読んでみて、暗澹たる気持ちになった。誰でも書き込める匿名コメントが、玉石混交で、玉率は1%にも満たないのは当然だが、「石」の内容がひどすぎる。
比較的マシなのは「これで救われた」「武漢肺炎を制圧できる。良かった」というもの。楽観的すぎるのにもほどがあるが、人間、希望は大切だしね。
「安倍遅すぎる」「厚労省グズ過ぎ」的な、政府政権批判もまだマシ。「朝日」であるし。
「今すぐ全国民に配れ」的な脳内短絡タイプがメチャ多いのも、分からんでも無い。
問題は、その先だ。実はこのアビガンなる薬は、かなりヤバい(旧来の意味で)。妊婦が服用すると奇形児が生まれるおそれがある。また、男性が服用した場合、精液に移行するため、パートナーが妊娠した場合、同様に奇形児を産ませる可能性がある。
これに対しては、
「高齢者は妊娠出産関係ない」「死ぬよりマシだから処方してくれ」
と、おそらくは高齢者がコメントしている。若い後妻や愛人とかが、いたりはしないのだろうか?
で、この先がひどい。
「イタリアとかスペインに送って使ってもらってくれ」「実地で使いながら検証すればいい」的なもの。
外国人に「死ぬよりマシ」と使わせて、その治験をちょうだいしようってわけですか。お爺ちゃん?
また、アビガンは発症の初期にウイルスの増殖を抑えるのには有効だが、重症重篤化したら効果が無い、という特性があるようだ。それに対しては、
「国民全員の感染の有無を検査して、陽性となったらアビガンを服用させる」
てなトンデモ論まで登場した。それにかかる費用と手間、予想される副作用被害がどれだけのものになるのか、耳糞ほども考えていないのだろう。
そもそも武漢肺炎は、感染した8割の人間は無症状もしくは単なる「風邪」だ。アビガン飲ませてどうするの?
その上で、
「副作用の危険を受け入れ、医療訴訟など起こさない、と一筆書くべきだ」「自分はもちろん書く」
というのは、まだマシなほう。
「政府が全責任を持って、ただちに実行しろ」
というのは、何を考えているのやら。
こうしたコメントの数々を読んだあとで、
「何にもしないほうがマシ」
というコメントを読むとホッとする。
アビガンその他による薬害が拡大し、サリドマイド禍が再来する「未来」と、武漢肺炎による死者*人を受容する「未来」と、どちらを選ぶかと言えば、答えは明白だろう。いや、明白じゃない人間が相当数いるのか。高齢者とか、老人とか、爺婆とか。