三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

一点豪華主義

 …という言葉を、自分は寺山修司のエッセイで知ったように思う。パリの乞食が月に一度、高級レストランでフルコースを食す、とか、木賃アパートに住んでボロを着てるが、高級外車乗ってる、とか。裏を返せば「数点貧弱主義」とも。

 当時は目ウロコに思ったが、その後、若者の欲望を刺激し、高価な物をローン組ませて売りつけるための「標準話法」であると理解するに至った。

 まあ、戦後の高度成長期というか、昭和時代には「あり」だったと思う。昨日より豊かな今日があり、今日より豊かな明日を信じられた時代には、ちょっと無理筋の消費を通じて「未来を先取り」し、「より上」を目指す野心に燃料を注ぐため「一点豪華主義」は有効だった。

 今は違う。生活水準が向上し、消費生活が成熟した。白物家電ユニクロで十分に「豊か」に暮らせる。田舎なら、さらに軽自動車の1台もあれば120%の豊かさだ。そこで有効なのは「全点貧弱主義」。衣食住の全方位、収入以下の支出で暮らすよう、消費レベルを切り下げること。

 切り下げ、切り詰めた分を蓄える。そこそこ貯まったら、投資する。そうやって自らの労働以外の「稼ぎ口」を作っていくのが基本中の基本でしょうよ。

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