三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「靖国問題」これで最後にするが

ご推察の通り、読んでいてかなり腹が立った。怒りにまかせて書き散らしたため、いつにも増して論旨がとっ散らかっている。「この著者は、読者である一般国民を根底から馬鹿にしているのではないか」と感じたからだ。
一例を挙げよう。
第一章「感情の問題」で、著者・高橋は、戦死者の遺族感情を取り上げる。2001年8月の小泉首相靖国参拝に対して、韓国人を含むプロ市民が大阪地裁に違憲確認訴訟を起こしたが、それに対抗して参拝を支持する人々が神社側の弁明を行った。そのひとつに、夫が靖国神社に合祀されているという岩井益子の陳述書があった。高橋の引用部分から孫引きする。

靖国神社を汚すくらいなら私自身を百万回殺してください。たった一言靖国神社を罵倒する言葉を聞くだけで、私自身の命が切り裂かれ、全身の血が逆流してあふれだし、それが見渡す限り、戦士たちの血の海となって広がって行くのが見えるようです。

こうした激烈な遺族感情に対抗するものとして、高橋は「アジアの人々の『感情』」を持ち出す。旧軍人軍属として戦死した台湾人の遺族が、大阪地裁に同様の訴訟を起こし、棄却されたのだが、原告の一人に「高金素梅」というタイヤル族の女性がいる。台湾理蕃の際の「タイヤル族の勇士の頭を切り落とそうとする旧日本兵」の写真を見たことが、彼女が原告団に参加するきっかけだったそうだ。以下が彼女の記述だ。

見よ、見よ、私の皮膚には鳥肌が立ちはじめ、私の目からは涙があふれ出し、熱い血がこみ上げてきて脳天を直撃した。私はついに、自分はいったい誰なのかをはっきり知ったのである。

かくのごとく高橋は「岩井益子vs高金素梅」を設定する。激情に対する激情として。で、この高金氏は、以下のような人物であるらしい。高橋は当然知っていたのだろうが。http://www.emaga.com/bn/?2005060034490320005291.3407

今や原住民の代表者のように振舞うこの人物は、もともと中国人(所謂外省
人)として育ち、かつては「金素梅」という名で芸能活動を行っていたが、
その後立法委員(国会議員)を志し、たまたま母親が原住民だったことか
ら、当選しやすい原住民枠で出馬することにし、名前に母親の姓である「高」
をつけ、突然「高金素梅」という名の原住民に変身した。

原住民議員となった高金素梅が選んだ活動の一つが反日だった。つまり日本時
代における日本軍の反抗原住民に対する鎮圧行動への非難攻撃である。原住民
に変身しても、心は相変わらず中国人のままだということだ。この人物の記者
会見に出たことのある日本のメディア関係者は、日本に対する憎悪の激しさに
圧倒されたと語っていた。
(中略)
こうした振る舞いに憤ったある高砂義勇隊遺族は、「あなたは歴史を知っている
のか」と問い詰めたところ、高金素梅は何も言えなくなり、「何も知りません」
と告白せざるを得なかった。先日も遺族グループから、「靖国攻撃は遺族の意見
を聞いてからやれ」と抗議を受けたが、それは当たり前だ。

さらに言えば、高金氏は1965年生まれ。三鷹より若い。台湾の日本時代を知っているわけでもないし、戦争も知らない。靖国に合祀された台湾出身戦死者の「遺族」じゃない。単に血統の一部がタイヤルというだけだ。
このような手合いの言葉をもって「靖国の妻」の血を吐くような言葉を相殺しようとする高橋。そんな詐術が読者に通じると思っているのだろうか? もちろん、思っているからこそ、やったのだろうな。女優出身の高金氏の「涙の抗議」写真のビジュアル的訴求効果も計算に入れて。
高橋の魂の色があるとしたら「黒」以外考えられない。