レンタルDVDで観る。なんちゅうか、とんでもない映画だった。1930年代のファシズム芸術家の幻想のような架空世界。そこで展開するのは、タチの悪いクスリやって観た幻覚のようなドラマ。原作はタツノコ? 丸尾末広か大越孝太郎の間違いだろう。
アニメの「新造人間キャシャーン」とは何光年も離れた作品で、ファンは驚きあきれたことだろう。そもそもアニメには「ナチの機甲師団に蹂躙される古き良きヨーロッパ」てなイメージがあった。この映画じゃ、舞台がそもそもナチ帝国で、ロボット軍団がレジスタンス。孤高のヒーローが入り込む余地など無い。まあ、ここまでぶっとんでしまえば、原作など忘れてしまって無問題なのだが。
「なんであんなところにロボット城があったのか?」とか「天から降ってきた稲妻型のトゲは何?」とか疑問は山のようにあるし、「新造細胞の正体」にはあきれさせられる。ちうか、夢の中でしか通用しない不条理な説明で説得されてるようで、より深い悪夢の中へと無理やり引きずり込まれていく。そんな感覚は、ある意味「買い」かも。
人類の存亡この一戦にあり!とまで広げに広げた風呂敷を、最後に思いっきり矮小にまとめる。役者数人のしゃべくりだけで演じる小劇場のお芝居レベルに収斂させる。おまけに「ハッピーエンド」にすら見える。キチガイが妄想を全開にして暴れまくり、へとへとに疲れ果てたあげくに「もしかしてキチガイが直った?」と勘違いして終わったような感じ。その「結論」こそが、冷静に考えれば最悪の妄想なのだが。
少なくとも「観た!」という満腹感はたっぷり味わえる映画。「エライもん観た」かもしんないし、観終わった後にトイレに駆け込むかもしれないが。
と、ここまで書いた上で白状するが、自分は10箇所以上ツボにはまって、かなりのレベルで楽しめた。「宮廷クーデター」シーンの及川ミッチーの高笑いとか。
- 出版社/メーカー: 松竹
- 発売日: 2004/10/23
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