三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「かむろ坂」考

 一昨日、歩き花見した西五反田の「かむろ坂」にしても地形の呼称だと考えれば簡単な話。

 かむろは童女の髪型で「おかっぱ」のこと。すなわち河童。河童は頭頂が禿げた切り揃え髪だ。昔のカトリックの坊主みたいな。日本史の教科書に出てた「フランシスコ・ザビエル像」を思い出してみよう。童女の頭頂はハゲじゃないが、全体の形が似てるからそう呼ぶようになった。

「かむろ坂」の近所の高台は「かむろ山」と言われてたらしい。すなわち、河童のお皿のように丸いハゲ山。そこから目黒川に向かって下ってる坂だから「かむろ坂」。白井権八も、その愛人の吉原の遊女も無関係。その遊女の使いっぱの「かむろ」から逆算して、でっちあげられた地名起源説話。

 それはそれとして「坂」は「境」であり、異界との「境界」であるというのは、日本古来の地形概念。「古事記」にある、黄泉の国への通路である「ヨモツヒラサカ」が有名。「かむろ坂」も「坂」であるがゆえに、白井権八(処刑)→愛人(自害)→その使いっぱの「かむろ」(レイプされかけ池に飛び込んで自殺)という、「非業の死」の三連コンボを招来したのだろう。事実じゃなく「説話」レベルで。