一転して暖かくなったと思ったら、かなりの強風で、咲ききったソメイヨシノがたちまち散っていくようだ。「花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ」は井伏鱒二だったんだ。寺山修司だと思ってた。「ポケットに名言を」で読んだからだな
「虚人」とも評され、何かと毀誉褒貶のある寺山修司だが、五木寛之と並んで、ある世代の「上京少年」にとってのヒーローだったことは間違いない。桜つながりで引用すれば、
おとうとの義肢作らむと伐りて来しどの桜木も桜のにほひ
なんて、寺山臭満点で息苦しくなりそうだ。寺山は一人っ子で兄弟なんていなかったんですけどね。そんな「事実」なんて彼のかっこよさの前じゃ耳糞ほどの意味も持たないわけで。…とまあ、そのくらいにハマっていたのだ。自分は。