三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

贅沢禁止令

自転車のおかげで体質が改善され、尿酸値も低値安定した。さらに「ビールは痛風の原因ではない」という画期的な説も定説となりつつある。そこで過去数年封じてきたビールを解禁することにした。もっとも一日1本限定ね、と腰が引けているのが笑えるが。なるほどさように痛風の激痛は記憶に深い傷を残しているということさね。
どうせなら、最近流行らしい「ちょっと高いビール」を飲むことにする。「プレミアム」とか「マイスター」とかついてる類だ。久しぶりにビールの棚を覗くと、知らない銘柄ばかりだ。もう何年も飲んでいないのだから当然だが。
と、「贅沢日和」という缶が目に留まった。渋い金色の缶のデザインからして、実に高級そうだ。今夜はこれに決めた、と買って帰る。
さっそくグラスに注ぐ。…なんか泡が雑で粗い。飲んでみる。…これが高級ビール? ビールってこんな味だったっけ?
缶を確かめてみる。「発泡酒」と書いてある。ビールじゃなくて発泡酒だったんかい。なんじゃこりゃあああ! と脳内ちゃぶ台をひっくり返す。人生の無駄骨を一本ボキリとへし折ってしまった感に襲われ、床にへたりこみたくなる。
発泡酒というのはビールの代用品だろ? 本当はビールを飲みたいのだが、税金その他もあってお高いから、代用品で「ビール気分」を味わおう、というためのモンなんだろ? それがなんで「贅沢」なんだ。ベクトルが正反対じゃんか。ネーミングが本質的に違う。
そりゃ「ビールもどき」とか「低所得者向けビール代用飲料」とか、ずばり本質を突いたネーミングは忌避すべきであろう。にしても、言いようがあるだろう。「清貧思想」とか「質実剛健」とか「地球にやさしい」とか、代用品としての分をわきまえつつ、耳に優しいレトリックはいくらでもあろう。ハサミと言葉は使いようだ。本質を突くにしても「節税飲料」とかさ。ちゃんと考えて欲しい。
少なくとも「贅沢」は禁止。それを連想せしめる語句も。