三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

映画「どろろ」

そういや2月に劇場行って観たんだ。感想書くの忘れてた。
妻夫木聡百鬼丸がかっこ良かった。百鬼丸は生まれながらにして身体のパーツ48個を妖怪に奪われた超重度の身障者で、目も耳も鼻も手足も無ければ、肝臓も心臓も無い。それらを「育ての親」の魔法医師(原田芳雄)が作ってくれた代用品で補っているという設定。映画の最初はヘレンケラー同様の三重苦状態で、テレパシーで他人とコミュニケーションしているということだったが、そこらへんの演技も悪くなかった。で、妖怪を退治するたびに、本来のパーツが復活し、耳が聞こえたり、目が見えるようになったりする。戦闘用ロボットみたいだった百鬼丸が、段々と「生身」の人間に変化していく。なかなかに説得力のある演技だった。
戦災孤児→泥棒のどろろ役が柴咲コウと聞いて、「バトロワ」の頃ならともかく25歳にもなって「おいら、どろろだい!」はねえだろう、と偏見を持って観始めたが、一瞬にして「柴咲=どろろ」となった。こういう役柄がハマる女優さんだったのだな。三鷹内の対柴咲ポイントが5くらい上がった。
これまた危惧したニュージーランドロケは大当たりだった。あのマカロニウェスタン的荒涼感とキッチュな無国籍感は、国内ロケ&セットじゃ撮れまい。いかにもチャイニーズな派手派手のワイヤーアクションも、NZの荒野を風景にしたからこそ活きている。一番感心したのは、生まれたての百鬼丸が捨てられ流されてきた小川。人間の手がまったく入っていないように見える自然の川で、日本には存在しないのでは無いかと思った。
ドラマ的に残念だったのは、醍醐景光中井貴一)と多宝丸(瑛太)のキャラの掘り下げ不足。でもそれやっちゃうと主役が完全にどろろじゃ無くなってしまう。痛し痒しである。
あと、ワガママを一つだけ言わせてもらえば、最後のクレジットのバックでかまわないから、大昔にTVアニメ化された時の主題歌、「おまえらみいんなホゲタラだ」てな歌詞だったと記憶するが、あれを流して欲しかった。