三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「寅さん」初体験

レンタルDVDで「第1作」を観る。白状するが、自分はこの「国民的名作シリーズ」を40ン歳の今日まで一本も観たことが無かった。観なかった理由はいくらでもあるが、一番は渥美清の顔が嫌いだったこと。こどもの頃、あんな面構えの奴にいじめられたのかもしれない。まるっきり記憶に無いが、記憶から完全抹消せざるを得なかったほどのトラウマだったのかも(笑) 舞台設定も貧乏臭いとしか感じられず、下町の魅力もまるっきり分かんなかった。田舎モンだったからねえ。
で、観ましたよ「男はつらいよ」。主役「寅さん」の嫌味度が、予想の斜め上にすっとんでいたのに驚かされた。設定が、単なる「流浪の純情男」じゃなく、れっきとしたテキヤで、昨今下手すりゃ「指定暴力団?次団体」にリストアップされる可能性すらある。キャラクターは下品だし喧嘩っ早いし小ずるい。「御前様」のような権威にはへつらいすり寄る一方、隣りの印刷工場の労働者には「菜っ葉服の工員」なんたらと差別的言辞で罵倒する。全体としては、けして友達にはなりたくない、嫌な野郎なのな。まして家族親戚として突然出現したら、悪夢に等しいだろう。
そんなダメダメ兄貴なのにもかかわらず、さくらが「お兄ちゃんお兄ちゃん」とベタベタに慕うのは、若くして死んでしまったもう一人の兄の存在が大きい、てな演出意図がありありと見える。
そのさくらが1作目で結婚→出産まで行っているとは思わなかった。いやしかし「俺がいたんじゃお嫁に行けぬ」と歌いつつ、1作目で結婚問題にケリをつけてしまったのが、その後の連作ヒットに繋がったのかもしれない。
さくらさえ片付いてしまえば、庶民感情レベルの大問題は解消する。寅さんは人畜無害なトリックスターとして、突然来訪したり失恋したりを繰り返して、ドラマを盛り上げてくれればいい。
いやしかし、本当にそうなのか? もう1本2本は観ておいたほうがいいかも。