三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「キングダム・オブ・ヘブン」

ネタバレ&酷評であることを最初におことわりしておく。ツッコミの都合上、ストーリーのほぼ全体を紹介することになるが、「それだけツッコミがいのある懐の深い大作」であるとも言える。
12世紀フランスの山村。寒々とした空の下、若い女性の埋葬シーンから始まる。鍛冶屋の女房で、こどもを亡くした悲しみで自殺した、てな事情が語られる。その鍛冶屋バリアン(オーランド・ブルーム)が黙々と仕事をしているところに、エルサレムを目指す十字軍騎士の一隊がやってくる。
その騎士がバリアンに「あいむゆあふぁーざー」と告げる。バリアン、実はベーダー卿騎士ゴットフリー卿の隠し子だったと判明。「これでこの土地との縁も切れたべ。わしらと一緒にエルサレムさ行くだ」と。「でもおら、鍛冶屋だし」と断るバリアン。「残念だべ」と旅立つ騎士。
(当時のヨーロッパの後進性を考慮し、吹き替えは「標準方言」でお送りしております)
その夜、地元の司祭がバリアンの家に来る。「おめえの女房は自殺しただ。間違いなく地獄行きだ」と侮辱され、その上、司祭が女房の遺体から十字架をギッていたことを知ったバリアン。激怒して、真っ赤に焼けた剣で司祭を叩っ斬り、そのまま出奔。炎上する鍛冶屋。
数日後、父ちゃんの一隊に追いつくバリアン。「エルサレムさ行けば、女房の魂も救われるかもしれねえだ」 父ちゃんの部下である屈強な男達に温かく迎え入れられ、剣術の手ほどきを受けたりする。と、村からの追っ手が来る。「司祭さま殺した犯人だべ。引き渡すだ」「仲間を渡すわけにはいかねえだ」てなやりとりの後、バトル勃発。いきなり飛び道具で奇襲してきた敵に対し、バリアンも含めて男達の剣が炸裂。全滅させるものの、部隊の半数を失い、父ちゃんも重傷を負う。
手当てのかいなく、エルサレムに渡るための港町で、死んでしまう父ちゃん。その直前に、バリアンを騎士に任命し、自分の跡目を譲る。
わらしべ長者状態で、鍛冶屋→貴種→騎士とクラスチェンジするバリアン。だけど、そもそも最初に父ちゃんの誘いを断らなかったら、司祭をはじめ、敵味方合わせて十数人は死なずに済んだのでは? もちろん父ちゃんも。この「いったん拒絶、気が変わって引き受ける、人が死ぬ」というバリアンの三連コンボは、映画後半でスケールアップして再現される。よく覚えておこう。
十字軍部隊を乗せて、エルサレムめざして出航した船。が、嵐であえなく難破。海岸に打ち上げられて、生き残ったのはバリアンと馬一頭のみ。この馬をめぐって、たまたま通りかかったムスリム騎士と決闘することになる。父ちゃんの形見の剣で、敵を斬って捨てたバリアン。敵の従者の命は助け、エルサレムまで案内させる。そこで従者を解放。馬もプレゼントする。太っ腹である。一本刀エルサレム入りしたバリアン。ゴルゴダの丘に女房の十字架を埋めるが、心のスキマは満たされない。
エルサレムの町をさまようバリアン。「その剣をどこで手に入れただ?」とやばそうな男達に声をかけられる。「父ちゃんの剣だ」「どんなおかただ?」てな問答を経て、お屋敷へと案内される。男達は父ちゃんの部下で、父ちゃんが十字軍の新兵リクルートのためにフランスに行ってる間、エルサレムのお屋敷と郊外の領地を守っていたのだ。
若きゴットフリー卿として、領地に迎え入れられるバリアン。騎士→領主にクラスチェンジ。父ちゃんの政治的信条が「異教徒との融和」だったため、領地にはムスリムユダヤ人もいる。荒涼とした土地を開墾するため、領民と一緒に井戸を掘るバリアン。水が湧き出し、畑が作られる。人々が宗教対立を超えて共存できる理想郷の建設が、自分の人生の目的なのではないか、と思い始める。
(この項、続く)