三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「ジョゼと虎と魚たち」続き

映画が面白かったので、田辺聖子の原作小説も読んだ。文庫本でわずか26ページの短編だったのは意外。ここからあの映画を作り上げた脚本と監督の才能を評価したい。
小説のほうが映画よりもエロチックでロマンチック。「繊(ほそ)い人形のような脚」という描写にとりわけフェティッシュなエロチシズムを感じる。ラストも映画とは違い、ふんわりと終わっている。
秀逸なタイトルは田辺聖子の仕事だった。もしも「車椅子の恋人」なんてタイトルだったら、本もDVDも手に取る気にさえならなかったと思う。
田辺聖子を読むのは久しぶりだったが、女のエロスを強烈に感じる。これはしかし、若い頃には分からなかったなあ。笑える小説を書く、笑える顔のオバチャン(失礼)と思っていた。「ジョゼ」の他にも、29歳の離婚女が10歳年下の甥っ子の童貞を抜く「恋の棺」がエロい。と、サラリと書いているけど近親相姦モノでもあるわけで。
ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)