英語に限らず、何か新しいことを年取ってから始めようとすると、自分自身の覚えの悪さに驚かされる。若い頃は何でもスポンジのように吸収できたのに、今は何度繰り返してもなかなか身につかない、と暗澹たる気持ちになる………ということは、実は三鷹の場合、あまり無い。
スポーツとか武術とか身体を使う類は、基礎体力の相対的な衰えと体重の相対的な増加により、不本意な状況に追い込まれているのだが、それ以外は今のほうが上達が早い。とりわけ英語のような、繰り返しと蓄積がモノを言うジャンルは、学生時代よか現在の方が、はっきり手応えがある。
若い時分は気が多く、いろんなものに目移りしたから、一つのことを集中してやるということが難しかった。40過ぎた頃から、一つのことにこそ集中し、あきることなく繰り返すのが得意になっている。若い頃よりも、性格がしつこくねちっこくなってきたのだ。中年のおっさんらしく。赤瀬川原平の「老人力」にならって「中年力」とでも名づけておこうか。
