三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「海辺のカフカ」追記の追記

海辺のカフカ」をググって、言及しているサイトをざっと回ったが、違和感を覚えることしきり。彼のファンのコア層は「読者」というよりも「信者」なのだな、と再確認する。そのへんを村上春樹風に書いてみたい誘惑に駆られる。
たとえばこんな風に考えてみてほしい。君は、あまり親しくはない友人たちに誘われて、あるバイオリニストのコンサートに行った。演奏はかなりのレベルだったが、舞台のバイオリニストはフルチンだった。君はそのことが気になって、音楽に集中できなかった。コンサートの後、友人たちと君は喫茶店に入った。当然コンサートの感想が話題となるが、「メンデルスゾーンが良かった」「あの解釈は彼ならではだ」など、演奏を褒めそやすばかりで、誰もこのバイオリニストの、言わば独特の衣装については触れようとしない。「でもフルチンだったよね」と君が言うと、会話がとぎれる。しばしの沈黙の後、友人の一人が「あなた、ペニスがそんなに珍しいの? あなたにはついていないの?」と堅い調子で言い返してくる。”ペニス”という用語に君が戸惑いを感じつつ「そういうわけじゃないけど」と言葉を濁すと「だいたい、あなた、彼の音楽を聴くつもりがあったの?」と追撃される。他の友人たちは何も言わないが、彼女を自分たちの代表として、絶対的に支持しているのが君には感じられる。そこで、ようやく君は、彼らと君の間に目には見えない、高くて分厚い壁が存在することに気がつく。
………というわけで(何が?)、遅まきながら「ねじまき鳥クロニクル」を文庫本で読み始めています。