三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

ベッカムに恋して

レンタルDVDで観る。楽しめた。思っていたより、ずっと奥行きのある作品だったのはめっけもの。
まず「ベッカム」はタイトルだけ。これは事前に知っていた。どうでもいいこと。
ロンドン近郊を舞台に、サッカーをがんばるインド系のヒロインの友情と恋の物語。それがメインなのだが、さらに奥がある。「イギリスに住んでいるインド人であること」だ。
ヒロインの父親はクリケットの選手だったが、インド人差別に負けてクリケットを捨てた。娘にも同じ辛さを味わわせたくないから、サッカーを禁じる、という展開だ。
で、ヒロインは「模範的なインド人女性として生きるか」「サッカーに青春を賭けるか」との選択を迫られる。姉の結婚式と決勝戦がバッティング。きらびやかなサリー姿のまま式場を抜け出し、車の中でユニホームに着替えてグラウンドに向かう。燃えるぜ!(笑)
だがしかし、ここまでなら普通の映画。この作品が凄いのは「それでも彼女はインド人たり続ける」とのメッセージがしっかりとこめられていること。いや、逆か。そんなヒロインをも最終的には許容するほど「インド文化」の包容力は大きい、ということか。その包容力は、フリーセックスをも許容し、さらには同性愛までも許容する…かもしれない、と。
はっきりとは語られていないが、イギリスにおける社会階級も意識されているように感じた。そもそもは、クリケット中産階級以上のスポーツで、サッカーは労働者階級なんだろ。ヒロインの家はいかにもミドルクラスだが、チームメイトで親友にして恋のライバルとなる白人少女の家は、確実にワーキングクラスだった。とりわけ父ちゃん(太っててサッカー大好き)が分かりやすかった。