三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

明治生まれの祖母

 明治生まれの祖母は、城下町の小学校教師として、身分や貧富のわけへだてなく地元の人々を教えてきた人でしたが、終戦直後の困窮の時代、着物を米と換えてもらおうと、近在の農家を訪問した際の、百姓たちの、相手の足元を見透かした極端な値切りと「不満なら帰んな」と言わんばかりの傲岸な態度に、心底腹を立てました。その後何年か過ぎて、世の中が落ち着いた後も、なけなしの日銭を稼ごうと、町に野菜を担ぎ売りに来る百姓たちに対しては、門付けや乞食よりもさらに下の扱いで、軒先に入れるどころか、門をまたぐことすら許しませんでした。
 そんな祖母でしたから、もしも今なお存命で、株屋の真似事をやっている孫の私の姿を見たならば、伝来の薙刀を蔵から引き出して、大上段より袈裟懸けに、肩口から腰先まで一刀両断、仕置したやもしれません。