三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

再掲「まぼろし令嬢」


拉致された玉代を救うべく、マユミは紅水仙に変身して、児童虐待バレエ団・ニコニコ劇団の事務所を襲う。
拳銃を持った黒マスクの女性がマユミたん。左手甲の紅水仙に注目。
緊縛されているのは玉代たん。縄をほどこうとしているのは、玉代たんを姉と慕う劇団の孤児たち。
縞の着物の年増は「七化けお駒」。当麻一作を裏切って獄死させた四悪人の一人だが、他の三人と比較すれば幾分マシなのは、島田先生がフェミニストだったから?
読者的にむかつくのは、このシーンの直前に、お寿司を一人前だけ買ってこさせ、お腹をすかせた孤児たちを尻目に、自分だけ食おうとするくだり。そのスキに紅水仙に侵入され、玉代の替わりに緊縛されて、餓死寸前の放置プレイを食らうことになる(笑)
(2004/09/24)

まぼろし令嬢1」と同じシーンの初刊本バージョン。モチーフはほぼ同じだが、絵はまるっきり違う。ちなみに両方とも挿画は伊勢田邦彦
他の挿画も同様で、モチーフも画家も同じなのだが、絵は違うという、ややこしさ。
マユミたんの黒マスクがあからさまに異様。そのマユミたんの髪型も、玉代たんとお駒の髪型も、さらには孤児たちの髪型も、すべてサザエさん風パーマなのが、昭和26年という時代を感じさせる。ちうか、もうちょっと考えて描いてくださいよ、伊勢田画伯!
初刊本のほうが、再刊本よりも「少女小説」っぽい。再刊本のほうは「探偵小説」のテイスト。三鷹の好みからすれば再刊本なのだが、これは初見の「刷り込み」が多大に影響しているのだろう。
(2004/09/24)

「少女世界」(富国出版社)1950年4月号にて新連載された、その最初のページ。挿画は澤田重隆。
単行本だけ見ていたときには今ひとつピンとこなかったが、玉代は宝塚の男役のようなビジュアルイメージで通しているようだ。男装の玉代が心優しき薄倖の乙女で、お嬢さま然としたマユミのほうは馬を乗り回すようなおてんばで、おまけに紅水仙に変身もするという、少女二人の外見と心情のアンバランスさが、おもしろみの一つだったのかもしれない。
※雑誌そのもののコピースキャンではなく「本を開いたまま」のデジカメ写真を掲載したのは、著作権法上の「複製」ではなく「作品紹介」を目的とした引用であることを明示せんがためです。ご理解いただければ幸いです。
(2004/09/24)