三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「ALWAYS 三丁目の夕日」

三丁目

試写で観る。かなり良く出来たCGを使って再現された昭和33年の東京。ノスタルジックな画面を背景に、芸達者な子役たちを使って、あざとい「泣き」を波状的に仕掛けてくる。ここだけの話、まんまと泣かされてしまった。
2時間13分の映画なのだが、春夏秋冬に分け、小さなエピソードの積み重ねで見せていくので、尺ほどの長さを感じさせない。…というのは「良い映画だった」ということだろう。
吉岡秀隆演じる茶川先生は、原作まんがの印象よりずいぶん若かった。でも「トウの立った文学青年」という設定ならば、あれで正解なのだろう。なまじ若い分、ダメ人間っぷりが際立つ。あきれるのを越し、笑っちゃうのを通り越して、いっそさわやかなほどのダメっぷりで、なんか賞を上げたいくらい。
小雪が綺麗なのは予想通りだったが、ストリッパー上がりの居酒屋の女主人という、意外な汚れ役だったのは収穫(?) 幾つになってもどこか幼児臭い薬師丸ひろ子の「鈴木オート」のおかみさんっぷりが多分に不気味で良かったのと双璧。その「鈴木オート」社長役に堤真一を配し、暴力体臭プンプンのヤンキー上がり親父としたのは原作以上だし、原作の集団就職小僧「六」を女の子に替え、天下堂々の田舎娘に仕上げたのも小技。
全体に、話は真っ向ストレートの感動路線、キャラは一ひねり二ひねりに作りこむ、というポリシーだったようだ。煙草屋の婆さんを演じたもたいまさこは、もう婆役しか思いつかない。かつての笠智衆の向こうを張って、婆役一筋で今後50年がんばって欲しい。