三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

吉本佳生「金融広告を読め」(光文社新書)

これはおもしろくてためになる。銀行や証券会社が薦める「お得な資産運用」の嘘やトリックを具体例に即して次々に暴いていくもの。ごく初歩的なのを一つ二つ紹介しよう。
「凄い好金利!年2%の定期預金」とある広告。「1000万円1年預ければ20万円かよ。ゼロ金利の時代にありがたや」と思ったら大間違い。よく読むと「1ヶ月もの」「30万円まで」「初回のみ適用のキャンペーン金利」とある。要するに、実際の金利は最初の月のみで、年利2%=月利0.17%。20%源泉分離課税されるから0.13%。その後はゼロ金利。目いっぱい30万円預けても390円しかもらえない。銀行は新規に口座を開かせるのが目的だから、390円で済めば大笑い。
「米ドル定期預金年7%」とある広告。「1ヶ月もの」「初回のみ」は一緒だが、「50万円以上」とある。年利7%=月利0.58%→税引後0.46%でも、1000万円ほうりこめば1ヶ月で4万6000円。これなら悪くない、と思いきや、円で預けて円で受け取るシステムであり、円⇔ドルで1ドルあたり1円の為替手数料をとる。往復で2円。1ドル100円として1000万円なら手数料20万円。儲かるどころか15万4000円損してしまう。解約時に円安になっていたらさらに損。1円54銭以上は円高になっていなければ損なのだ。銀行は手数料で稼げるから円安でも円高でもウハウハ。
ひとつ教えられたのは「ハイリスク、ハイリターン」の正しい意味。リスクとは「損をする可能性」ではなく、標準偏差で計算される損益のバラツキ具合。リターンとは確率論による期待値。だから、元金100万円が20%の確率で150万円、80%の確率で70万円になる投資は、ハイリスクであると同時に、期待値86万円なのだから、ハイリターンではなく、マイナスリターンなのだ、と。
で、ここから先は自分なりの「応用」なのだが、公営ギャンブルでもパチンコでも宝くじでも、期待値100%のギャンブルなどありえないのだから、ギャンブルとはすべて「ハイリスク、マイナスリターン」なのだな。なるほどなるほど。

金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)

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