少し前に買った二葉亭四迷「平凡」を読む。平易な文章ですいすい読める。噺家のような文章。落語の速記本から言文一致体を編み出したという由来が良く分かる。
こどもの頃の甘ったれぶりは明治も平成も同じ。いや、平成のこどものほうが、生活面に余裕がある分、しっかりしつけられているかもしれない。かなりの犬好きであることも判明。愛犬の死のくだりは泣かせる。
100年そこら経とうと、この手の日本人の精神構造にさほどの変化は無いようだ。こども時代は甘ったれ。思春期は頭でっかちで自意識過剰。青年期は性欲に翻弄されて、似非インテリとなって俗物に堕する。明治も平成も何の変わりもない。
ちうかさあ、二葉亭の明治ならばともかく、平成の御世、このレベル以下の「人間描写」にとどまる小説を読む意味は無い。二葉亭が「ここ」まで来るに費やしたエネルギーを考えれば、平成の二葉亭もどきは、何一つやっていないに等しい。
そんな代物に財布を開いてくれる「お読者さま」に対しては、有難いとしか言いようがない。いやホント。
- 作者: 二葉亭四迷
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/02/01
- メディア: 文庫
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