三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

藤堂志津子

某美人作家から薦められた藤堂志津子を初めて読む。デビュー作「マドンナのように」講談社文庫はどこにも無かったので、直木賞受賞作「熟れてゆく夏」文春文庫を買う。すずらん通りの廃墟寸前喫茶へ。珈琲350円飲みつつ表題作を読む。
濃ゆい。濃ゆ過ぎ。レズビアンものはたいがい濃いのだが、そこに虚栄だの貧困だの老残だの少女期のSM心理だの唐突な暴力だの、さまざまなダークマターが散りばめられている。で、それなりの恋愛小説になっているのだから、著者の力量は新人(だった)にしてはかなりのものである。1988年度直木賞受賞作。作家は自分よかちょうど10歳上。なるほど。
酒…というかアルコールを飲む描写が真に迫っている。雰囲気とか味とかじゃなく、アルコールそのものが好きで惑溺した経験がなきゃ、こうは書けない。アル中(克服)作家の中島らもを連想。