三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「素晴らしい一日」

平安寿子素晴らしい一日文藝春秋 を読了。平読み2冊目。表題作はオール讀物新人賞受賞作。審査委員の浅田次郎林真理子の選評が帯に引用されている。言うたらなんやけど、浅田はともかく林の小説より数段出来がいい。
失業OLの幸恵30歳が、2年前に付き合っていた男を探し出し、貸した20万円の即時返済を求めるシーンから始まる。男・友朗37歳は事実上の破産状態だが、貸してもらえるあてがあると言い、幸恵の車に同乗し、知人を訪ねて回る。そのワンデイトリップを通じて、幸恵が知らなかった友朗の人生が次第に明らかになっていく、というお話。
「<最高にハッピー>という笑顔」が得意技の友朗(今気づいたがtomorrowってか。ふざけた野郎だ)の三鷹的イメージは「すりきれた羽賀研二」だったが、作者の計算通りだとするとちとシャクかも。もちろん、羽賀研二の人生もけして見た目通りではなく、十分すぎるほど豊かでかつ細やな陰影に彩られているのであろうが。
ISBN:4163199608