三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「もっと、わたしを」

平安寿子「もっと、わたしを」幻冬舎 を読了。「本の雑誌」のコラムでほめていたので興味を惹かれた。一読して感心した。軽い調子の恋愛小説に見せかけて、キャラクターの掘り下げ具合が、なまじの純文学より数段深い。壁紙メーカーの営業や内装職人、醸造酢の営業ウーマン、歯科医院の受付嬢と、トレンディードラマ(死語)の類には登場しそうにない、およそおしゃれらしからぬ業界の男女による恋愛ドラマであるところが良い。
「へいあんとしこ」さんだと思って、書店の「へ」の棚を探し回って無駄足を踏んだ。「たいらあずこ」さんだったのね。そのくらい、自分にとっては初めて聞く名前だったが、もっと早くに知っておくべきだった。1953年広島生まれとあるが、どんなひとなのだろう?
どちらかと言えば女性向けだが、男女問わずに一読お薦め。
ISBN:4344004663