三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

高原基彰「不安型ナショナリズムの時代」

2ちゃんに象徴的な、日韓中のネットナショナリズムのヒートアップの原因を分析する内容。3国それぞれの近代化現代化のプロセスによって生じた国内の政治的経済的対立を指摘する。韓中の場合は国内対立がネットナショナリズムの原因だが、そのことは自覚されている。日本も同様なのだが、自覚されていない、と、手間暇かけて日本をこきおろす(笑)
ネットナショナリズム以前にナショナリズムのあらわれを見れば、日本と韓中の非対称性は明白だろうに、気づかないふりをして並列するところが小ずるい。
今さら言うまでも無いが、韓国は反日が「建国」以来の国家的アイデンティティ、中国は反日共産党政権の偽りの正統性を担保する。ともに反日は「無しではいられない」必需品。
対して日本はそもそも「和をもって尊しとなす」の国柄だから「お手本とする国」はあっても「仮想敵国」など必要としない。
そこにネットその他の非マスコミメディアを通じて、韓中の生々しい反日ナショナリズムが伝わってきたので、「バカ言ってんじゃねーよ」と反論している。あるいはバカっぷりを「ネタ」として遊んでいる。要するにそれだけの話。
その証拠が対ロシア。終戦のドサクサに北方四島露助に泥棒された日本の屈辱は、竹島東シナ海ガス田の比では無いだろう。なのにネットにおける「嫌韓」「嫌中」に比較して「嫌露」は、はなはだしく少ない。ロシアのナショナリズム反日とはズレていて、韓中ほどは伝わってこない。領土問題はそれはそれとして「嫌露」を意識するには「燃料不足」というのが実情だろう(笑)
あとがきを読んだら高原が「師匠」として名前を挙げてる二人のうち一人が姜尚中。「ああ、なるほど」というのが率直な印象。