三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

「アレキサンダー」

アレキサンダー

歴史もので3時間近い長さと聞いていたので、退屈で寝てしまうんじゃないかと用心していたが、違った。ちうか、びっくりしたりあきれたりの連続で、退屈している暇が無かった。
アレキサンダー大王はホモだった」というのが全編を通して最も印象的だったこと。「現代とは違って古代ギリシャでは」云々のエクスキューズが当然あるだろうが信用しちゃダメだ。「男同士の愛もあり」てなレベルではなく「それしかない」のだから。これはしかし、スキャンダリズムが大得意なオリバー・ストーン監督の意図的な仕掛けだろう。あまり面白がっては思う壺かも。
DV炸裂父さんと蛇大好きカルト母さんの狭間で性格歪んだ少年アレキサンダーは、男女の愛が信じられずにホモになり、ホモ仲間と楽しく酒盛りしたり、元気いっぱい戦争したり、母さんの呪縛から逃げたい一心で、とうとう地の果てインドまで行ってしまいましたとさ、と、要するにそういうお話と解釈するのも十分可能だ。オリンピアス母さん役のアンジェリーナ・ジョリーは私生活でも蛇飼ってたそうだから、ハマリ役だったのかもしれない。
映像的には十分楽しめた。ファランクスによる戦闘を具体的に見せたり、バビロンにちゃんと「バベルの塔」があったり、アレキサンダーをはじめ、騎兵がアブミを使ってなかったり、細かいところが結構凝っていて、自分のような中途半端な歴史おたくのおたく心を刺激してくれた。インドでの戦争シーンで象兵部隊を登場させてくれたのは嬉しかった。そうだよな、インドと言ったら象だよな。「お約束」を守ってくれてありがとう、ストーン監督。
ガンダーラなるインドまで遠征しても、戦争の合間の宴会しか楽しみが無かったかのように見える、バリバリ体育会系なマケドニア人たち。そん中じゃ、ちゃっかりエジプトをゲットして晩年を全うし、アレキサンドリア図書館で回想録を口述筆記するプトレマイオス爺さん(アンソニー・ホプキンズ)が一番の勝ち組だったかも。彼の王朝は、クレオパトラがローマ相手にヘタうつまで、300年も続いたしな。