正岡豊「四月の魚」
「短歌ヴァーサス」6号に載っていた正岡豊「四月の魚」がすばらしい。SFや推理小説にのめりこんでいた中学高校時代を想起させられて、胸がきゅんと痛む。
ぼくらのくらしはまるで二重太陽系 死の呼び声はきこえないけど
海竜の目覚めるころにきみは挽く珈琲の豆挽く ひややかにカットグラスの夏が終わればもうきみもモスクワも涙を信じない
そう。「モスクワは涙を信じない」というくっさいソ連映画があったですよ。ソ連崩壊の十数年前に。で、こんな怖い歌もある。
エノラ・ゲイの火の翼 否死の翼夕映えならば誰に触れなん
われらかく地に人を埋めて来しゆえに雨を乞うそれが黒き雨でも
原爆繋がりで、これは同じ号に載っていた松村正直の歌だが、
夏が来るたびに箱から取り出して日本人はみなヒロシマが好き
というのも怖い。馬鹿サヨの神経を逆なでする。