ひさびさに骨のあるまんがを読んだ。土屋ガロンこと狩撫麻礼原作、嶺岸信明作画のハードボイルド「オールド・ボーイ」全8巻 双葉社刊。
往年の漫画アクションで連載。韓国で映画化され、カンヌのグランプリをとった。審査員長のタランティーノ激褒め、と。こんだけ揃えば満貫だろう。
「私設刑務所」での10年間の軟禁生活から解放された主人公が、復讐を誓って東京を彷徨う。唯一の手がかりは、10年間毎日食わせられ続けた出前の安中華メシの味。
ドラマの舞台は、ビル工事現場、ゴールデン街、ボクシングジム、競馬場、雀荘などなど。狩撫らしく、およそトレンディーともお洒落とも無縁の、男のテリトリー。酒と食い物は実に旨そうだ。グルメ趣味じゃない、戦う男達のエネルギー源としての酒食。
人が死なないのに、スリリングでサスペンス感覚満点。失われた記憶…小学生時代の同級生との出来事、など、テイストは「二十世紀少年」に通じるが、こちらのほうが数段自分好み。
ISBN:457582240X
