三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

小山田キャンセル

 小山田某の件は具体的には知らんし知りたいとも思わんのだが、こういう手口でやられたら、過去の言行を発掘されて「キャンセル」される音楽家、芸能人、スポーツ選手、政治家その他いくらでもいるんじゃないか?

 アメリカあたりじゃクラスメートの問題発言(レイシズム系がベスト)を記録しておいて、その子が大学に推薦入学決まったところで拡散し、推薦取り消しを狙う、なんて例もあるそうだ。得意満面の優等生が、一瞬にして泥にまみれる姿に快哉を叫ぶわけだ。さぞかし気持ちがいいんだろうなあ、と胸糞が悪くなる。

 日本でも、ここ何十年かで世間的な「価値観」がずいぶんと変わっている。「いじめられる方にも問題があった」「レイプされたのは扇情的な服装をしていたから」「自殺するなんて、精神的鍛錬が足りないから」 現在ならどれも「アウト」だろ。発掘されたら致命傷だ。煙草の煙を相手にぷーっと吹きかけて「細かいこと気にすんなよ」と笑ってる動画が拡散されたら、「人殺し!」と嫌煙ファシズムが炸裂する。

 小山田がやらかしたのは、さぞかし不快感を刺激させられるようなことなんだろうと想像するが、それを知って「わたしが不快な思いをしたから、キャンセルされるのは当然」と短絡して、何の疑問も抱かない善男善女の姿には、恐怖すら感じる。

 一つ予言しよう。「大豆ミート」が普及し、さらに「培養肉」が商業ベースに乗った未来。食肉目的で動物を屠殺することが禁じられた未来だ。そこで、あなたの動画が発掘されて、テレビで放送される。分厚いステーキを、旨い旨いと食っている動画だ。「これは培養肉ではありません」とテロップが被さる。「神戸牛品評会優勝はダテじゃない。完璧にうっまーい!」とあなたの声。

 そこに別動画がインサートされる。「優勝」の花輪をかけられた黒毛和牛の身体をぺしぺし叩き「こりゃ素晴らしい肉付きだ」と笑うあなたの姿。

「これは、人間としてどうでしょうか?」とコメンテーター。
「屠殺禁止法以前の映像とは言え、肉を食うのを心から楽しんでいるように見えます。一片の罪悪感も、殺された牛に対する同情もなく」

「わたし、正直、吐き気がします。こんな人の音楽を使うなんて、常識じゃ考えられません」とひな壇の女性タレント。

 はい、キャンセル確定。あなたの創作物はメディアから抹殺されます。未来永劫、誰もあなたに「仕事」を依頼しません。