三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

田舎ビジネスの難しさ

 先日、ジュンクで立ち読んだ新書に「町おこしなんて無理」的なものがあった。パラ見したら、よそ者が田舎でビジネスやる困難について書いてた。成功すると、地元を「搾取」した結果だ、と疎んじられるんだと。失敗したら、やっぱ難しいよねえ、と冷笑されるのだが、成功するよりはずっと当たりが柔らかい。

 つまり、こういうことなのだ。田舎者が大したビジネスができずに貧乏でいるのは、土地柄でしょうがないから。彼自身がダメだからじゃない、と思いこんでる。ところが、よそ者が成功すると幻想が砕かれる。ダメなのは土地じゃなく自分であるという現実を突きつけられる。また、地元自治体から補助金もらってほそぼそとビジネスしてる手合いは、成功したよそ者に横取りされる、という恐怖もある。行政としても、貴重な税金を遣うなら、費用対効果が高いところにつぎ込むだろうから、と。

 まっこと田舎は恐ろしい。住むだけでも厳しいのに、ビジネスやるとなれば煉獄の道を歩かされる。まあ、そういう偏狭な土地柄であればこそ、前途有望な若者は居つかないし、稼げる才覚のある者はワンチャンで去っていく。残ったのはカスばかりで、抜け駆けする奴がいないかと相互監視し続けている。

 東京だっていわば「巨大な田舎」で、都民全員田舎者なのだが、規模が巨大すぎて、他人の成功失敗にイチイチ目を止めてらんない。結果として「魂の自由」(曽野綾子)が実現されている。

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