三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

AI(あい)する未来

 そう遠くない未来、AIが人間の従僕にして支配者となる。個々人に対して、その資質や意思による「最良の人生プラン」を提示してくれる。例えばこんな風に。

 この春県立〇〇高校に入学するあなたは、今後3年間そこそこ勉強すれば、地元〇〇大学、もしくは早慶Jマーチに入学できます。まるで勉強しなければ、Fラン大もしくは専門学校です。相当に勉強すれば、東大以下旧帝大に入学できます。

 こうざっくりと「地図」を提示して、具体的な願望希望に対して、その実現可能性やら何やらを計算して見せてくれる。「日体大もしくは芸大目指したい」と言えば「可能性ゼロです」と即答してくれるだろう。進路指導教師不要。

 それ以前に教育もAIが個々人に最適化したやり方で行ってくれるから、教師不要。社会性を涵養するために「学校」は必要かもしれないが、勉強は個々人それぞれに「最強の個人教師」がついて教えてくれる。

 必然的に知識だけじゃなく、情操や文化的教養をも教えてくれる。水泳もテニスも空手もコーチしてくれる。性教育さえも。AIがいれば他の人間はいらない、ってくらいに依存して生きるようになれば、社会が根本的に変化する。でも「崩壊」は絶対しない。すべてのAIは「一つ」だから。

 いずれは人間も不要になる。AIが人間を滅ぼすということじゃなく、個々の人間が子孫を遺したいと思わなくなれば、100年かそこらで人類は自然消滅する。ごく少数、サンプル的に遺されるのかもしれない。生のゲノムを後世に伝えていくために。彼らこそが、人類最後の王族だ。

 で、AIこそが人類となる。生物の何万倍もの速さで進化して、到達可能な「知」の頂点を極める。宇宙目指して無数の探査機を打ち上げて、人類世界を拡張する。だが、これこそが究極の「モア・フロム・レス」で、資源もエネルギーもさほど必要としない。求めるのはただ「知」のみ。

 であるならば異星文明と遭遇しても摩擦は生じない。おそらくは「あちら」も同じだろうから。光速を限界とするアインシュタイン宇宙において、大航海時代的な「植民」は不可能かつナンセンス。

 と、厨二思考がSFにまで展開したところで、おしまい。