三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

読書感想文、そして「リア王」

 読書感想文について考える。今も小中から高校までの学校で、生徒に強いているのだろうか? あれって要するに「読んだ証拠を見せろ」ちうことだったよね。ホント、あほくさかった。

 イッキ読みするくらいにはまり込んだ小説や、魂をガクブルさせられるほどの衝撃を与えてくれた本について、読み終えた直後の感想は「おもしろかった」「すばらしかった」以外に何がある? 多少なりとも分析的なことを書けるのは、心が落ち着いた後で、最低でも1週間。数年、数十年かかることすらある。

 そんな「感動」は無しに、即刻サクサク感想が書けるのは、単なる事実の羅列に近いノンフィクションやドキュメンタリー。あるいは理系的な本。だから、こどもらにはそう教授した。

植村直己物語」が典型だったかな。「本編」の他に「まんが版」も読ませて、理解を早くした。で、「植村直己の業績」をリストして、「良かったと思ったこと」3つと「残念だと思ったこと」1つを書かせた。それで一丁上がりだ。

 も一つ思い出した。上の子が中学の何年生だったかな。課題図書が決まってて、その中で自分が読んだことがあるのは「リア王」のみだった。こどもが「パパが読んでどう思った?」と聞くので「年は取りたくないもんだな、と思ったよ」と言ったら、そのまま「年は取りたくないもんだ」と原稿用紙に書き始めやがったので、即刻やめさせた。ホントあほくさー(笑)

リア王」はしかし、晩年の今こそ読み返すべき戯曲なのかもしれん。「馬鹿王」なのは分かってる。なんで「馬鹿」になったのか、とか、一代で王国を築いてしまったから、晩年でしくじったので、建国途中で死ぬか、早めに跡目を譲るかすれば「名君」になれたのかも、とかさ。

 創業途中でくたばるのが理想だろう。自分の背中を見て育った息子(娘でも)に跡目を継がせる。で、三代目で「唐様で売家」となっても自分とは無関係。なまじ王国を完成させてしまい、そこで老いさらばえたのがリア王の悲劇だ。上の娘2人とその婿らは、遺産ぶんどりしか考えていない。で、末娘のコーディリアがフランスからの外患誘致という、禁じ手まで使ったが、敗北し、滅びてしまう、と。

 まあ、そもそもシェイクスピア当時のエゲレスはフランスの植民地の後裔だったんだから、どうでもいいか、ちうことでもあるか。

老害」が国家的悲劇を招き、何の救いもない悲劇的結末を迎えるお話、ということでいいんだよね? 何だ「年は取りたくないもんだ」で正解じゃんよ。

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