三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

ロシアメモ その1

 ロシアはヨーロッパとは異質な国である。東欧(旧東側)の国では数年前にチェコポーランドに行ったことがあるが、基本的にドイツやフランスと変わらなかった。ロシアは違う。社会主義とかそういうことじゃなく、根本的な成り立ちの違いからだと思う。「タタールのくびき」というが、ロシア自体がタタール(モンゴル)の一部だったわけでさ。そう考えればヨーロッパとの国民性の違いが理解できる。一言で言えば、専制と恭順。絶対権力を持つ皇帝と塵芥のごとき農奴。その中間に田舎貴族と小役人。それが社会主義時代には共産党独裁に置換されただけ。プーチン体制の現在も本質は変わらない。

 こういうシステムの下では「小役人根性」が社会のいたるところで猛威を振るう。システムの中で何らかの「役職」につければ、身分も収入も安泰。心配なのは仕事上の失敗のみ。ならば、仕事は少なければ少ないほうがいい。「窓口」であれば、来訪者がゼロで、いっさい仕事しなくて済むのが理想。そのために「営業時間」をとことん切り詰める。

 その結果、至るところで行列が発生し、行列に辛抱強く並ばなければ何一つできなかったのが社会主義時代。ソ連が崩壊して、資本主義が導入され、そこで「サービス」という概念が初めて登場した。サービスの良い店が繁盛し、「小役人」の店は潰れる。そうして経済的格差が発生するわけだが、理の当然としか言いようがない。

 また、こういう体制下では、「権力」に使いでがある。同じ旅行者であっても、例えば「政府招待の視察団御一行」の類が、どんだけ優遇され、あらゆる便宜を提供されるだろうことは想像に難くない。「西側」じゃあり得ないほどの歓待であろう。その分、「それ以外」が割を食うわけだ。せいぜいで「小金持った農奴」扱いだからね(笑)