三鷹食堂日記帖

飯食い酒飲み自転車をこぐおやぢの日常。MT車大好き。

青木冨美子「ライカでグッドバイ」(文春文庫)

ベトナム戦争」読書3冊目。ほとんど名前しか知らなかった沢田教一の仕事を知る。ピュリツァー賞から「戦死」まで、まさに戦場カメラマンの「典型」だったのだな。
津軽出身で、三沢基地の写真店員から、UPIの現地雇いカメラマンとなった沢田の屈折を知り、「豊かなアメリカと貧しい日本」が、ついこの間までの「現実」だったということもあらためて思い起こさせられた。
その沢田の写真集をあらためて見た。誠に申し訳ないが、ピュリツァー賞を取った「安全への逃避」など、ごく少数を除き「良い写真」とは思えなかった。四方八方から弾丸が飛んでくる「前線」での写真ならともかく「銃後」だったら、もちっと情感溢れる感動的な写真が撮れたんじゃないか、と。
いや逆に「戦争写真」というジャンルにおける「良い写真」の多くは、キッチリ演出された「やらせ写真」だったということなのかもしれない。「硫黄島に旗を立てる海兵隊員」みたいな。
ライカでグッドバイ―カメラマン沢田教一が撃たれた日 (文春文庫 (375‐1))